からし色の靴下

甘党・辛党・映像全般・音楽聴きながらゆらゆらお酒飲みたい人

おばあちゃん家の本棚の匂い

逢坂みえこさんの漫画を久々に読む。

永遠の野原ベル・エポック、小学校の寮の本棚に置いてあって「大人の話」だなあと思いつつも心になにか「しん」とくるものがあった。

読んでいた場所は寮なのに、久々に手に取ると祖母の家の畳で寝転がって本棚の香りがするような…子供の自分がまとっていた香り、空気感…懐かしい。子供の頃の思い出は守られていた安心と度々起きる理不尽な事。泣きそうなくらい悔しい思いをした事…もわっとした感情が呼び起こされる。今日の外の空気の感じ。まさに。

ずっと気になっていた「恋は雨上がりのように」を読んだ時は何故だか「いつかこの恋を忘れて泣いてしまう」の"お母さんの手紙"が自然と頭の中で流れてきた。坂元裕二さんの脚本を手がけるドラマはいつも劇中歌がすごくいい。その中でもカルテットのすずめが自分の恋について話すときに流れる "honesty"が好きだ。雪がゆっくりしんしんとつもっていくような感じ、丁寧に紡いだ心の糸みたいな繊細さがストーリーに凄まじく合っていて聴いているだけで泣いてしまいそう。今、再度honestyを聴くと家森さんの涙と暗い部屋ですずめちゃんがごはんを用意する所を思い出してしまったけど。それはそれで。

坂元裕二さんの『往復書簡 初恋と不倫』の「不帰の恋、海老名SA」パートの後半に「定食みかげ」というお店が出てくる。これは吉本ばななさんの『キッチン』の桜井みかげから取っていたりするんだろうか。リトルモア行きの読者アンケートに書いてみようかな。インスタやツイッターでは話しかけられない。SNS上で芸能人にコメントできる人ってすごいと思う。わたしには無理だ。『キッチン』といえばみかげが雄一にわざわざ届けるカツ丼があって私は今まで食べてきたカツ丼があの妄想のカツ丼の味をいまだ超えていないんだよね。もう一度キッチンも読み返してみよう。一人で食べたらずるい位美味しいカツ丼。